wrong, rogue and log
2013-02-22T00:49:16+09:00
yutakashino
yutakashinoの日々と意見 - ご注意:本blogのyutakashino(柏野雄太)による書き込みは、その属する法人等の見解を何ら代表するものでなく、個人のテンポラリな意見の表明に過ぎません。
Excite Blog
厚い教科書
http://kashino.exblog.jp/17352981/
2013-02-22T00:39:00+09:00
2013-02-22T00:49:16+09:00
2013-02-22T00:39:10+09:00
yutakashino
Misc
今は機械学習再入門をしようと思い、読んでいるのはKevin P. Murphyの"Machine Learning"である。この本は本当にわかりやすく、よく書けていて素晴らしい。MATLABコードもついてきてほとんどの図と例を手元でリプロダクションすることができる。ちなみにMurphyはUBCのCS学部の准教授だったのだが去年そのアカデミック職を辞めてGoogleに入ってしまった。http://research.google.com/pubs/KevinMurphy.html むぅ、またしてもGoogleか…。
この"Machine Leaning"は索引抜きでも1000ページ超えの、北米によくある入門から最新の専門トピックまで幅広くカバーする「フルボディ」教科書で、まずはこれだけで自己完結し、内容も必要十分なものである。こういう「フルボティ」の教科書は読む方も大変だが、書く方はもっと大変だと思う。コンピュータ言語の入門書を書いた+特殊なWebフレーワークの翻訳をしただけのレベルの人間には、どんなレベルの忍耐が必要なのかかまったく想像がつかない。
この「フルボディ」教科書は大学・大学院教育では欠かせないリソースである。例えば、他のコンピュータ科学だとクヌース老師のTAOCP、"Concrete Mathematics"があるし、物理学の教科書でもランダウの物理学教程やファインマン物理学、スミルノフ高等数学教程などはまさにそれだ(まあ邦訳ではかなりの冊数に分冊化されてしまっているが…)。もっとスゴイのになると1970年後半までの成果を詰め込んだ一般相対性理論の「電話帳」MSW"Gravitation"がある。ちなみにこの本は邦訳が2年前の2011年に出ている。邦訳もこの量になればスゴイと思う。マクロ経済学の教科書でもアセモグルの"Introduction To Modern Economic Growth"やウッドフォード"Interest and Pries"やヤングビスト&サージェント"Recursive Macroeconomic Theory"などはまさに"フルボディで、マクロ経済学専攻の院生の必読書ながら読むのが大変だそう。僕は3年くらいまえにマクロ経済学マイブームがやってきて、戯れにヤングビスト&サージェントやアセモグルの本を購入したが、どちらも一章くらい読んで挫折したので、この分野については何も言えない。
まあとにかく、英語圏には一流の研究者が書く非常に質の高い厚い「フルボディ」の教科書が高くそびえ立ち、その山を登攀しないとプロとしての修行の入り口にも到達できないことになっている。つまり、知の体系の経典というか守り番として、そういう厚い学部上級から修士課程レベルの教科書が必要なのだ。しかし、日本にはそういうものはあまり存在しないように思う。これはなぜだろう?(次回に続く…)]]>
終わりがほとんど全て
http://kashino.exblog.jp/17324991/
2013-02-17T19:31:00+09:00
2013-02-17T17:58:33+09:00
2013-02-16T19:37:33+09:00
yutakashino
Misc
これもダニエル・カーネマンの「ファスト&スロー」に書いてあること(35章)だが、人間の自己認知には、経験する自己と記憶する自己という2つの自己があるそうだ。その自己の違いをカーネマンらは実験によって明らかにした。苦痛を伴う麻酔を使わない大腸内視鏡検査において、検査時間の大きい小さいと、最大の痛さの強度と、検査終了時の苦痛の強度について、検査時に記録を取り、そして検査終了後日数が経ってからの検査の印象を調査したそうだ。
それによると、記憶に基づく印象というのは、最大の痛さと検査終了時の痛さの平均値できまり、検査時間の長さは記憶された印象にほとんど影響を及ばさないそうだ。経験する自己と記憶する自己は違うのだ。つまり、あるプロセスにおいてそのプロセスが続くあいだは苦痛をできるだけ抑え、最後の印象を良くすれば、そのプロセスに対する良い印象が記憶に残るそうだ。
僕も別の文脈でこれに近い経験をした。終わりの印象がよくないと信頼がズタズタになる。
--- 省略 ---
この文章も特定の個人に対して糾弾する意図は全く無く、過去のイベントに対する自分なりのメモをとることと、自分の気持ちの整理のために書いている。しかし、論理的に頭で整理がつくことと、自然と沸き上がってくる感情は全く別なものであり、ただ割り切れない悲しい思いで一杯になるだけだ。
なるほど、カーネマンが発見したとおり、人間の記憶は終わりがほとんど全てを決定するようだ。]]>
人の成功譚を自分に応用するのは難しい
http://kashino.exblog.jp/17323374/
2013-02-16T12:35:00+09:00
2013-02-16T12:59:59+09:00
2013-02-16T12:35:11+09:00
yutakashino
Misc
それはなぜかというと、成功譚に内在する2つの要因が、他人や他の組織にその話を適用するのを難しくしているからだ。一つは環境条件。もう一つは内部情報。
成功譚を生み出すきっかけになった成功は、その成功した個人や組織の特殊な環境に極度に依存している。もし成功譚から「学んで」成功をしようと試みるなら、その環境条件に出来る限り近づかなければ、成功譚に書かれた成功のプロセスを辿ることができない。天才研究者と同じ知性を持つ、スターアスリートと同じ運動能力を持つ、V次回復した企業のリソースと環境を持つ。一般的にそういう条件を自分に想定するのは不可能である。これが成功譚を自分に応用することが難しいことの一つの理由である。
成功譚には、たいてい成功するまでに至ったプロセスやノウハウが克明に書かれていて、それが大きな読ませどころ聞かせどころである。しかし、そういったプロセスやノウハウはあくまで成功譚の語り手の感情や印象や記憶などの内部情報にもとづいて書かれたものが多く、第三者による網羅的な実証調査やメタ・アナリシスを含んだ統計分析などの外部情報データにもとづいているわけでない。ダニエル・カーネマンの名著「ファスト&スロー」の23章にあるが、感情や印象や記憶などの内部情報に基づく予想はたいてい誤った結果を産む。その錯誤を避たいときは、自分の境遇とできるだけ同じケースやクラスを見つけ、その統計データを外部情報として入手しなければならないのだ。内部情報に基づいた判断はたいてい大きく間違える。内部情報だけの成功譚は不可避的に自分に適用することができないのだ。
それでも人は成功譚やシンデレラ・ストーリーを好んで読む。そういった物語を「物語」として楽しむのは確かに面白い。自分を動かす言葉も幾ばくかはあるかもしれない。しかし、成功譚にあるプロセスやノウハウをそのまま自分に適用しようとするのは諦めたほうがよさそうだ。]]>
calling
http://kashino.exblog.jp/17315398/
2013-02-14T20:59:00+09:00
2013-02-16T12:44:38+09:00
2013-02-14T20:59:09+09:00
yutakashino
Misc
昔は例え片隅でも物理学に関わって研究者として生きることを望んでいたのだけれど、でも自分の若いエネルギーというかバイタリティというか、こめかみに血流を感じるような状態と、研究職というわりとスタティックで慎重さが重視される職業とにギャップがあって、結局耐え切れずに「キレ」て辞めてしまった。今考えるとバカそのものである。そしてあれから10何年も経つのであふれるバイタリティ的なものはだいぶ収まっている。残念というか、よかったというか。
ただ、その時にうまく扉を閉めずに飛び出してしまったので、職業プログラマになっても、「研究するポジション」的なものが自分の中に心の澱として残っていた。そのせいか、ジャーナルを購読したり、昔の研究を引っ張りだして計算を始めたり、別の分野の勉強をやりだしたりというように、職業エンジニアの傍ら、何年も中途半端なことばかりしていた。
いくつかの会社を経て、偶然自分で会社を始めるようになって、そして一緒に始めたビジネスのパートナー、全幅の信頼を置いていた人間に突然何の相談もなく辞表をメールで送りつけられ(!)て逃げられてしまって、結局自分一人で立つしか無いかと諦めた途端に、自分はやっぱりエンジニアなんだ、数理科学の素養をもったエンジニアなんだ、そしてそれで生きていくんだ、ということを受け入れることができるようになった。
まあそういう話。]]>
2013年1月の雑感
http://kashino.exblog.jp/17139853/
2013-01-12T17:03:00+09:00
2013-01-12T17:04:58+09:00
2013-01-12T17:02:56+09:00
yutakashino
Log
2012年の水泳は、本業の忙しさとその後にきた長期の風邪のために9月10月11月に月に数度程度しかいけなくなって、2011年の距離を100kmも下回った200kmくらいしか泳げなかった。その後もなぜか体が変わったのか、今までのフォームで泳げなくなってしまい絶不調である。まあ、今は本業優先モードなので、仕方がない。
自分の外の状況に眼を向けると、国内の経済の状態も危機的になっているのに、一発でその危機を解決する打ち出の小槌ばかりを国民も為政者も求めていてとても怖い。まあこれについては、市井にいる庶民としては自分の家族とビジネスを守るために、出来る限り少し先を見ながら狡猾に動くしかないのかなと諦めるしかないのだが。
今年はどんなことがあるのだろう…。]]>
雑感: 3月になった
http://kashino.exblog.jp/14788913/
2012-03-03T14:19:00+09:00
2012-03-03T14:42:43+09:00
2012-03-03T13:46:48+09:00
yutakashino
Log
新しくきたベビーは超順調である。それなりに年を経てから授かったニューボーンベビーは本当にカワイイ。この精神的に参った状態を彼女にどれだけ癒してもらったか。ただ、その分夜泣きとヨメの戦力離脱による日常生活の混乱の収拾をする必要があったが。まあ、それも含めて深刻に考える時間がなかったことが良いことに繋がったかもしれない。
仕事の短期的なキャッシュインもそれなりに順調だ。ただ、その分納期が次々とくる。これは大変なのは事実だが、うれしい悲鳴としよう。新しいことも始めるので、それにアダプトしていくこともやろうと思う。
長男は無事付属校の進学をした。一方、中学受験をした長女について、家族である決断をした。前にも書いたが、あるボンボン系の(金のかかる)中堅付属中学に合格したのだが、やはりそこへ行くのをやめて、地元の中学にいくことにしたのだ。親戚やいろいろな人から、折角合格したのになぜとか、志望校だったのになんで行かないのとか、大学も「エレベーター」で勝手に上がれるのにとか、伝統あるいい学校だからいかないのはもったいないとか、それなら中学受験をした事自体意味なくない?とか言われてしまっている。まあ、そのとおりだ。しかし、どう考えても自分の娘をそこに通わせるイメージが持てないし、そこに行っても年々急速にグローバル化されていく人材競争に対して競争的な能力がつくとは思えない。良家の子女や芸能人の子女とは友達になれるだろうが。これからは、学力の上位にいるか全く異なる技能に秀でるかでないとダメだと思う。吹けば飛ぶようなチンケなプライドを持つ伝統ある中堅というのが一番マズイと思っている。
小学校5年から2年間進学塾に通わせたのでそれなりの費用がかかっているのだが、それはサンクコストとすることにし、それよりも最終的に学力が上位進学校ではなく中の上くらまでしか達することができなかった娘の準備不足と、親のチャレンジする対象の選択ミスを今後の糧にすると考えることにした。結局、その学校に通うことで将来にわたってかかる費用に対して、その学校が過去に出してきた人材から予想される効果を考えると、どうにもワリが合わないのだ。娘もあまり気にせず、それまで全然勉強したことがなかったから受験勉強は結構面白かったよ、最後は詰め込みでチョットビミョウだったけれど、なんてケロッとしている。さすが僕の娘というカンジかな。ただ、僕は娘に借りができたのも事実だ。だから、そこに通うはずだった授業料をこれから毎年別途プールしようと考えている。
3月もいろいろあるだろうが、タンタンとこなしていきたい。]]>
Brad Efronの"Large-Scale Inference", "too much too little data problem”
http://kashino.exblog.jp/14741234/
2012-02-25T12:48:22+09:00
2012-02-25T12:48:23+09:00
2012-02-25T12:48:23+09:00
yutakashino
未分類
Large-Scale Inference:
Empirical Bayes Methods for Estimation, Testing, and Prediction
http://www.amazon.com/dp/B004K3C37G
経験ベイズに基づいた巨大データの推定問題を扱っていて、これは以前からきちんと勉強しなければと思って放置していたものだった。以下の講義録をモノグラフにしたものらしい。
Stats 329 Large-Scale Simultaneous Inference
Winter 2009/2010
http://www-stat.stanford.edu/~omkar/329/
昨日から時間があるときにパラパラ読み始めているが、具体例が豊富でRのスクリプトやデータもEfronのサイトにおいてあってハンズオンで確かめることができる。
http://www-stat.stanford.edu/~omkar/monograph/data.html
これはおもしろすぎる。ただ、独学で付け焼刃的にベイジアンを勉強した身には、この本を読み進めるのは結構骨だ。上のStats 329の動画があればいいのに…。
あと、Tumblrの方には紹介したのだが、最近Efronがやった講演についての講演前インタビューがあって、"too much too little data problem”という言葉でとても面白いことを話している。
「今の時代は一見大量のデータに溺れているかに見えるけれど、ある特定のことに答えようと思って詳しくみると実はまだまだデータが足りないことがある。…(データに溺れることと、データが足りないことの)両方が起きてるんだ。」
なるほど!]]>
日常: 渋谷での会食、mongoDB
http://kashino.exblog.jp/14732686/
2012-02-24T01:37:00+09:00
2012-02-24T01:42:33+09:00
2012-02-24T01:37:29+09:00
yutakashino
Log
それでも昨晩は元同僚だった小賀さんに、お忙しい身にも関わらず、わざわざ会食の機会を作ってもらい、色々な相談をした。情けない状況を聞いてもらい、色々な情報を教えてもらい、前向きな意見を言ってもらい、少し肚が固まったかもしれない。こういう友人は本当に貴重だと身に沁みたし、僕も気分が塞いでる友人にはこういうように接してあげなければと思った。
ところで、今やっている作業では、mongoDBの計算リソースを比較的酷使するのだが、このDBは単体サーバー使用ではすぐに根をあげガチで、mysqlのような根性が感じられない。ただ、クラウドなどでシャードによって負荷を逃がしてやるとかなり良い感じになる。一人では気弱だけれど、集団では強気な、みたいな。
色々あるよなあ…。]]>
日常:国立での会話、日本人の英語
http://kashino.exblog.jp/14718914/
2012-02-21T23:41:00+09:00
2012-02-22T13:09:08+09:00
2012-02-21T23:41:05+09:00
yutakashino
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あまり勿体ぶった話もなんなので、1つだけ話してもよさそうな僕が面白いと思った話題をいうと、それは日本人の英語の問題である。英語をちょっとできる日本人がすぐに陥りがちな罠は、重要な局面でさえも英会話の練習か周囲へのヒケラカシという愚行を犯す例が多すぎるという話題をしたことだ。僕は3つ前の会社と2つ前の会社でそれを経験した。例えばある例では外資出身の英会話上手というはずの経営パートナー(日本人)が英語圏のパートナー企業と結んだ契約書が問題になったのだが、彼が契約の際に関係代名詞のカンマがつくのとつかないの(つまり非制限用法と制限用法だ)を区別できなかったために、最後は会社を畳まざるをえなかった経験がある。齊藤さんもある組織におけるアメリカとの契約で同じような英会話好き日本人がしでかした後始末に苦労したそうだ。
この手の話は僕などが経験したよりもずっとよくあることらしく、例えば英語が得意で有名な大勲位中曽根元首相の英語は、実は稠密な国際トップ交渉ができるようなレベルではまったくないのだが、ただ英会話がしたいだけなのに、さも分かったフリをしていろいろなことをトップ会談における口頭でオーケーオーケーとしたので、外務省が後始末で大変だったとか。そういえば、鳥飼玖美子さんの良書である「歴史をかえた誤訳」には、通訳などの英語の専門家が誤訳して問題が起きた事例が載せられているけれど、実際のところ専門家よりも素人の「自称英語の達人」や「半分ネイティブ」が引き起こす災害のほうが数が多そうだと思った。
これは齊藤さんから聞いて、自分のところに戻ってきて調べたことなのだが、日露戦争の講和会議であるポーツマス会議では、当時ロシアの公用語だったフランス語が使われたそうなのだが、日本の全権委任大使である小村寿太郎は、流暢なフランス語が話せるにもかかわらず、向こうの土俵にあがらないように、会議では通訳を介した日本語で通したそうだ。
http://www.miyazaki-cci.or.jp/nichinan/ijin.htm
昔の人は立派だったとかで話がすまされない気がするな。現在、絶好調の某社とか某社などは社内公用語を英語にするとか、秋入学とかグローバル化で大学の講義を英語導入とか話題だが、例の記者会見レベルの英語なのに取締役会で重要な意思決定をしたり、学位留学のために5-6年しか英語圏で過ごしていないレベルなのに英語が不得意な国の学生相手に講義してもいいのだろうかとか、いろいろ考えさせられるね。もちろん、近い将来に容易に予想される大混乱が起こっても、今の若い世代を捨石にしてでも、あえて制度化し、今の世代から更に10年くらい下の世代が陽の目をみるという臥薪嘗胆の捨て身の選択なら、もちろんわかるのだけれどね。
---追記
@clicklogさんにタイポを指摘いただきました。ありがとうございました。]]>
雑感:本屋が遠い
http://kashino.exblog.jp/14701984/
2012-02-20T11:52:00+09:00
2012-02-20T11:56:52+09:00
2012-02-19T16:06:49+09:00
yutakashino
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僕は毎日コーディングをしているのに、現在の14歳も年下の仕事のパートナーに比べるとあまりできるプログラマではないという認識を常日頃から持っている。昔自分の研究で、コアとなる問題を解決したら、あとはやっつけにしかプログラミングをしなかった癖が今でも抜けない気がする。スゴいプログラマというのは簡潔でエレガントなプログラムを書くことができるだけではダメで、やはり時間あたりというか一日あたりにある量以上のコードを生み出し続けることができなければ全然スゴくないのだ。ある程度統一性をもった構築物というかタペストリーを織りあげるには、コアになるとろこだけではだめで、その周辺を埋め尽くすかなりの量のコードが必要なのだ。実際に社会に役に立ち動作するシステムはそれなりの量のコードからできていて、それを自分一人でも書くことができる体力を持っていないとスゴいプログラマになれないのだ。その意味で僕は今のパートナーの足元の小指の爪くらいにしか追いついていないと思う。
それでも毎日プログラムを書いていると、自分がとんでもなく出来る感の高揚感に包まれることがある。実はさっきがそれだった。でもしばらく経つとそれはただの世間知らずであることがわかるのが常なんだけれど。
ただ、僕の強みはスゴいプログラマであることにあるのではなくて、今まで勉強してきた数理科学や統計解析の経験や知識を商業的なプログラムとして組み合わせることができるということにあるんだと思う。世の中のスゴいプログラマは大量のエレガントなコードを産出できる一方で、僕はそこまでのコードは産出できない。でも、PythonもCもRもnode.jsもmysqlもredisもmongoDBもsolrも0mqもHadoopもエンタープライズレベルで使うことができるし、専門的職業者としてプログラミングができるという土台の上に、多変量解析も時系列解析もMCMCもリーマン予想の非自明な零点分布の数値計算もルベーグ積分も非線形多元連立方程式の数値解法もファインマン・ダイアグラムによる場の量子論的摂動計算も一般相対論的なテンソル計算もできることが売りだと思う。まあリーマン予想の非自明な零点分布やファインマン・ダイアグラムやテンソル計算が、実際のビジネスとして何の役にたつのか全くわからないが。
そして、時代はビッグデータ到来で、デカイデータの整形と解析、そして意味づけが必須となっている。ようやく自分が活躍できる時代が来たのじゃないかと思っているんだけれどなあ…。]]>
雑感:今年はいろいろある…
http://kashino.exblog.jp/14696247/
2012-02-18T18:10:00+09:00
2012-02-18T18:21:45+09:00
2012-02-18T18:10:01+09:00
yutakashino
Log
僕は待つのがとても不得意で、人に待ちぼうけを食わされると人よりも腹が立つほうだと思う。今までも少しの時間や期間が待てなくてチャンスを逃したり、人と別れたりしてきた。待つという不安定な状態への耐性が弱いのだろう。それに対して、ヨメは待つのが得意な人間だ。子供を育てるときも子供が自分からやりだすまでジッと待ってあげられるし、僕がいろいろ不遇を囲っているときも何も言わずに待ってくれた。今までに何度それに救われたことか…。
考えてみると、自分が新しい知識を学んだりスキルを身につけたりするときは、自分のバカさと闘いながら根気強く自分を待たなければいけないわけで、そんなときに待つのが不得意だととても不利なことになりがちだ。今まではそのときに興味のあることだけを学んで、できるだけ興味がないことは回避してきて、それでタマタマ生きてくることができた。だから新しい知識やスキルを身につけるのに大抵「待つ」ことはなかった。しかし、それはラッキーなだけで、興味のないことも身につける必要が今後はありそうだ。そんなときに不安定な状態に耐えながら、できない自分やまわりの人間をタンタンと待つことができるような人間になりたいと思ってきた。
最近はソーシャルwebサービスが隆盛であるから、友人知人やその数degreesの人間が成功を収めている様を、まさに実況中継で見せつけられる気がして、とても辛くなるときもある。自分はカタツムリのような速度で進むばかりか、時には大きく後退しているのに、昔仕事で関わったエンジニアがIPOで巨額の財産を手に入れたりとか、昔のセミナーで一緒に論文を読んでいた人間が日本の冠たる大学の教授になり有名な国際ジャーナルの編集委員まで勤めたりとか、そんなサクセスストーリーを容易に目にすることが多くなり、我が身を振り返ってガックリすることも多くなった。
それでも、そんなできない自分を「待って」あげられるような自分に是非ともなりたいと思っている。]]>
近況:家族が勢ぞろい + 子育てグッズ
http://kashino.exblog.jp/14641906/
2012-02-14T21:16:00+09:00
2012-02-15T17:44:34+09:00
2012-02-10T21:40:02+09:00
yutakashino
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ヨメが疲れやすくただの母乳マシンになっている現状では、僕が中心に家事を回さなければならない。幸いなことに子供が大きいのでかなり手伝ってくれて助かっている。ただこの時間(21:00過ぎると)になると仕事と家事と母子のお世話が重なってクタクタになる。旦那が仕事で忙しくて一人で子育てと家事をやらなければならないような世のお母さんの気持ちがわかる。まあ、ヨメはもっと大変なんだが。
そして、数日のうちにベビーも家に慣れてきて、我が家における夜の帝王の名をほしいままにしている。3-4時間ごとの夜泣きはこの12年間全く忘れていたのだが、結構辛い。しかも、保育園の一次選考に落ちてしまい(出産が選考基準のギリギリになったので選考対象から忘れられた疑惑がある)、ヨメの機嫌が悪い。更には、娘がボンボン系の私立中学に受かってその入学金や授業料にクラクラきているとか、長男の中高一貫高校への内部進学費用が別途かかるとか、受託の仕事の納期がヤバくなってきたとか、現在まさにイベントが一気に到来中である。もう父ちゃんはモニターが涙で滲んでしまうしか…。
ところで、12年前と違って最近はかなり育児グッズやサービスが充実していて、今はいろいろなことがかなり楽だ。例えば、バトルスター・ギャラクティカのサイロンの戦闘機のような形をした授乳クッションは素晴らしい。
授乳クッション
ママが腱鞘炎にならなくなり、赤ん坊も焦って飲みが浅くなることが少ない。授乳が終わったら、ゲップが出るまで赤ん坊を立てかける背立てになるし。
あと、まだ外に頻繁に出るわけではないのだが、それでも病院の検診や相談に行く時にベビーキャリアを使う。そのベビーキャリアにものすごくイイものがあった。それはハワイに本社があるERGO Baby社のものだ。
エルゴベビーキャリア
http://www.amazon.co.jp/dp/B00466I6SM/
これはさすがベビーキャリア界のロールスロイスと言われるだけあって、フィット感といい、肩甲骨や肩や腰への負荷分散といい、素晴らしい。Amazonの評でも絶賛評が多い。
また、陣痛で産院に行くときに利用したし、検診やその他の外の用事に行く時にヨメが疲れやすいのでタクシーを多用しているのだが、そのタクシーを呼ぶときに使っているのがiPhoneアプリの日本交通タクシー配車アプリである。
日本交通タクシー配車アプリ
http://www.nihon-kotsu.co.jp/taxi/use/iphone/
出発場所と配車予定時間(と行き先)を指定してボタンを押すだけで、1分程度で配車が完了し、その時間に来てくれる。すぐに呼ぶ場合でも10分程度で来ることが多い。アプリからすでに行き先を指定している場合は、タクシーのナビに行き先までの道が送信してあって、こちらは何も言うことがない。こんなにタクシーの配車が楽になるとは思わなかった。
とかとか、まだまだ色々あるので、折に触れて紹介できたらと思っている。]]>
Tedschi Trucks Band
http://kashino.exblog.jp/14630897/
2012-02-09T09:59:00+09:00
2012-02-09T10:37:24+09:00
2012-02-09T09:59:00+09:00
yutakashino
Music
先週生まれた子供の黄疸が引かなくてなかなか退院できないので気を揉んでいる。ベビーベッドもベビーバスもベビーラックも用意して、家の掃除も配置換えも済んで待っているのに…。
昨日の朝食時にラジオを聞いていたら、Tedeschi Trucks Bandが来日しているとのことだった。公演会場はなんと得意先のすぐ近くである。母子がなかなか戻ってこないし気が抜けたしということで、仕事が終わったら寄ってみたいなと思って、なんとなく電話をするとあっさりと、二階席だけれど、チケットがとれた。今度高校生と中学生になる子供には夕食の弁当の代金を置いて仕事に行った。
そして仕事が終わって会場にいくと大体9割くらいの人の入り。二階席は結構空いていた。演目は"Revelator"からの曲とプラスアルファというカンジだった。感想を最初に言うと、パフォーマンスはかなり良かった。デレクの超絶技巧ギターやスーザンのソウルフルなボーカルはもちろんスゴかったけれど、ツインドラムもベースもキーボードもホーンもバックボーカルも超絶技巧で魅了された。そういえば、マイク・マティスンがときどきギターもちながら歌っていて、結構うまかった。あと、なんといっても拾い物だったのが、トロンボーンのソーンダース・サーモンがムチャクチャボーカルが甘渋くて素晴らしかったことだ。途中で歌ったのが以下の曲だね。
Saunders Sermons: Most Beautiful
http://youtu.be/Ub1UVHqgKj0
スーザン・テデスキのボーカルは、激しい曲のときは単調になりがちなんだけれど、静かな曲のときにとても情感豊かになると僕は思っていたが、やはりそのとおりだった。"Midnight in Harlem"や"Until You Remember"とかのバラードが特によかった。デレク・トラックスのギターは思ったよりバリバリとやるのではなかったけれど、それでも堪能した。
ライブとしての不満は、PAセッティングがイマイチすぎて音が割れて共鳴して聴きづらいことが多々あった。スーザンもパフォーマンスの合間に結構文句を言っているようだった。あと平均年齢が高い客が多いためか、しょっちゅうトイレに立ったりビールを買いに行ったりと、曲の途中にも関わらず目の前を通り過ぎるオヤジやオバサンが多すぎて興ざめした。更には、20代30代40代の客になると4ビートのジャズやブルーズの聞き方を知らないのか、全部細かいビートで飛び跳ねてノッているフリをするのはやめて欲しかったな。隣とかすぐ前とか立ってそれをやられるとあまりにウザい。そして基本の音楽的なノリ体力とも言うべきものがないから、すぐ疲れて後半はぐったりしちゃってまわりの雰囲気をぶち壊すんだよな。4ビートの音楽って、基本はレイドバックで後半に少しずつ盛り上がってくるのにあわせてノッていくんだよ。また、合いの手を至るところで大声で入れまくるサラリーマンが斜め後ろにいてウザすぎて興ざめだった。合いの手って演奏のブレスで「タメ」を入れて、つまり裏拍で発するんだよ。結局、こういういいバンドが来てもニッポンジンの文脈でかなりぶち壊しになっちゃうんだよなあ、といういつものパターンだった。
それでも二時間半ばかりはいろいろ忘れて楽しんだ。よかったな。]]>
近況: 第三子誕生
http://kashino.exblog.jp/14620409/
2012-02-07T21:38:00+09:00
2012-02-07T22:37:18+09:00
2012-02-07T21:38:05+09:00
yutakashino
Log
今はヨメが出産入院中だが、退院してもしばらく戦力外なので、仕事をしながら、病院にいるヨメとベビーを見舞ったり、今までの掃除や朝食に加えて夕食をつくったり洗濯をしたりと家事の負担が増加した。まあ子供が大きいので結構手伝ってくれるのだが、それでも結構大変。得意先帰りにスーパーで夕食と朝食の買い物したり、仕事の合間にレシピを考えたりとまるで主婦状態。
そういうワケなので、今まで毎日書いていたTumblrもTwitterもFacebookも、今まで欠かさず読んでいたRSS Readerもほとんどアクセスしなくなった。単に時間がないからだ。もちろん仕事がWeb関連の開発や調査が多いからネットにはアクセスするのだが、仕事以外にネットでウダウダする時間が惜しい。つまり、ネットのブルシットって、リアルライフで忙しい人間はネットに本当に関わることがないんだな、と身にしみている。ネットのブルシット界にドップリ浸かっていただけに、意外な発見である。こういう関わり方もしばらくいいかなとか、少し思ったりもしている。]]>
2012年
http://kashino.exblog.jp/14323613/
2012-01-01T10:13:00+09:00
2012-01-05T18:14:00+09:00
2012-01-04T10:07:07+09:00
yutakashino
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個人的な視点での振り返りを簡単に。
2011年は東日本にとっては大変な年だった。3月11日から3週間は本当にどうなるか予断を許さない事態が続いた。東北地方の沿岸は津波による被害があまりにひどすぎてただただ呆然とするしかなかった。そしてその後の福島第一原発の震災には心の底から肝を冷やした。でも結果からいうと、自分が暮らす東京のインフラはとても堅牢性があり、それなりの数のドキュメントや発表資料を読みこなしてみると、原発震災といっても自分や家族にもたらす現在のそして将来の健康被害は限定的である可能性が高いことが確認できた。
仕事としては、今年は起業してからの方針を転向をした。いわゆるスタートアップのピボッティングである。幸いなことにクライアントワークに恵まれてキャッシュインが継続的にできているので当面は問題が少ないが、もう少し早く転向するべきだったと反省している。
自分の家族は誰もが元気で健康なことが何よりである。ヨメは先月産休に入った臨月の妊婦であり、もうすぐ我が家に次の子が生まれる予定である。長男は中高一貫であることをこれ幸いと水球とArduinoばかりの生活で、とうとう僕より背も高くなり、足のサイズも大きくなった。長女の規格外の元気さは相変わらずだが、そのはじけ飛ぶ元気を抑え、嫌いな勉強を我慢しながらムリクリ中学受験の準備をしているのだが、果たして結果はどうなることか。
実家は少し気がかりだ。77歳になるオヤジが腎臓がんや肺がんで入退院を繰り返し3回も手術をしたのだ。今は小康状態で、これ以上転移をしないような薬を服用して様子をみている。最近はがんの成長因子に直接働く分子ターゲットの新薬なども出ていて(http://bit.ly/xlQafk)、肺がんなどにかなり効果をあげているようだ。日本でも今年あたりから認可されていくらしい。タイミングの問題もあるのだろうが、がんは以前にくらべてかなりコントロールラブルな病気になりつつあるということがわかってきた。ただ、コントロール可能になったといっても程度問題だ。結局、がん増加の一番の原因である生活習慣については、本人の生き方次第だからだ。オヤジの状態を客観的にみると、今まで40年以上喫煙を続けた挙句、40年くらいほとんど一切の運動しないばかりか、食生活も改めることがなかった。そのような者としては当然の帰結として自身のがんを受け止めるしかないというのが現実だ。人間は何もしないで生物的に十全な体で70年という長さを生きるようにはできていないのだ。常に意識的に体を鍛え続け、知的好奇心満たすようにして、おいしいものを適度に節度よく摂取していくしかないのだ。
水泳生活は昨年一年で328,180mを泳いだ。328kmである。実は12月になって仕事が忙しくなるのと長期間の風邪ひきが重なり、一週間に一回程度しか泳げない状態になってしまった。震災とその年末の「緊急事態」がなければ計算上は350km、もしかすると400kmくらいは泳げたのだが、まあ仕方がない。今年も継続的に泳ごうと思う。
昨年の読書生活は別途エントリを立てるが、最後まで読みきった本が少なかった一年だった。震災の事態を理解するための原発工学や放射線医学や地震予知の手法に関するドキュメントの読みこなしや自分の業務の資料の読みこなしに追われてしまい、自分の趣味の読書まで手が回らなかったというところだ。また、書籍の物理的な収納方法の解決と自分達の流動性を確保するべく「自炊」を本格的に開始した。これは5月に訪れたカナダでiPad2を購入し、自炊したPDFを自在に読めるガジェットを手に入れたからである。一昨年から自炊用のスキャナや裁断機は手に入れてはいたのだが、やはり読書メディアが手に入らないと自炊をするインセンティブがでないものだと思った。
この後いわゆるNew Year's resolutionを書いて年初めのエントリを締めくくるのが恒例なのだが、今年はそういうスタティックな目的を立てるのはやめようと思った。それは自分の仕事も日本の社会的経済的状況も大きく変動している現状では、新しいサービスを立ち上げIPOや世界を目指すだとか、日本や世界の***に貢献するとか、革新的な***という技術を開発するとか、人がやっていない***にチャレンジするとか、そういう絵空事を外に向かって提示しても本当に絵空事に過ぎないと思ったからだ。もちろん、そういう大願は自分の中にあるし、それがないと起業をしている意味がないのだが、それをわざわざ外に表明することに意味を見つけられなくなった。
結局、当たり前のことだが、今の自分の手の届く仕事に一生懸命向き合い、自分の技術や知識が常に競争的状態であることに気をかけ、過去から学んだ上で小さなチャレンジを成功するまでめげずに繰り返すことを、飽きずにやり続けるしかないのだ。その意味でstatus quoを捨てた人は生き方として必然的にベイズ流にならざるを得ないのではないか。
最後に、2012年は皆様にも良い年になりますように。]]>
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