論理トレーニング
野矢茂樹さんの以下の「論理トレーニング」は「国語」の教科書として名著である。いわゆるビジネス書とか哲学教養書の「論理訓練」本というジャンルを形作った最初の本である。ただし、最初の本ゆえの荒削りさは否めない。
僕は例の勉強で数回読み通したけれど、もちろん例の試験はこの程度の本を読んだだけで、スコアがあがるなんて甘いもんじゃない。でも、ここに書いてある、接続詞や指示語で文章の構造を捉えるとか、演繹的推論や帰納的推論(推測)の話は大前提として必要だ。
そればかりか、通常の日本語で読んだり、話したり、書いたりするのに必要条件だと思う。ただ、十分条件にはならないのは言うまでもないが。
「論理トレーニング」という本の価値は「第7章 価値評価」「第8章 否定」「第9章 条件構造」が含まれていることにあるので、ここまでは読み通さないと、この本の意義がない。「第10章 推論の技術」はあまりにも表面しかなでていないので、この章は残念である。
演習をしたい人向けに「論理トレーニング101題」という問題集があるけれど、これは「論理トレーニング」の演習本なわけでなく、独立な本として微妙にアプローチが違う。この本の価値は「第4章 演繹の正しさ・推測の適切さ」と「第5章 論証を批判的にとらえる」にあるのだが、どちらも消化不良気味な問題量と問題の質となっていて、残念。こちらは、
マグロウヒル大学演習 現代論理学(II)のほうがよいかも。
なにはともあれ、なぜこのような国語教育を中学生や高校生のときにやらないのかな?
論理トレーニング101題