こうの史代 「夕凪の街 桜の国」
http://www.amazon.co.jp/dp/4575297445
このような言葉にならないほどスゴイ漫画作品があったとは。
全てのコマに、そしてそのコマの背景に意味があり、その描かれたものが登場人物を介して繋がっていくという構成にやられてしまう。Alan Mooreの作品に匹敵するほどの「叙事詩」であると思う。そう、抒情詩ではなく。
原爆を巡るスティグマを中心テーマに据えて、世代を超えて「ヒロシマ」と他所とを行き帰りする物語と言ってもいいのだろうが、そんな御為ごかしの言葉で言い表せない余情にあふれている。この場合の「ヒロシマ」とは、実際の広島でもあるし、被災というメタファーとしてのヒロシマでもあるし、人物が体現するスティグマとしてのヒロシマでもある。読後に、やるせなさというか悲しさというか感動というかそれでも前向きに生きる希望というか、よくわからない感情に襲われた。その感覚を少しでも共有できることが日本人として誇りに思うほどの漫画体験だった。正直、今はうまく言葉では表せない。
この漫画の優れた分析は、信頼できる次のブログですでに行われている。
http://mandanatsusin.cocolog-nifty.com/blog/2004/10/post_8.html
http://sho.tdiary.net/20041109.html