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2009年 01月 05日
4ヶ月前の以下のエントリ http://kashino.exblog.jp/7495536/ に関連した記事がWSJの昨日版に掲載されていた。 Mr. Rajan Was Unpopular (But Prescient) at Greenspan Party http://online.wsj.com/article/SB123086154114948151.html Mr. Rajan, a professor at the University of Chicago's Booth Graduate School of Business, chose that moment to deliver a paper called "Has Financial Development Made the World Riskier?" Rajanの元論文はここ: Has Financial Development Made the World Riskier? http://www.kansascityfed.org/publicat/sympos/2005/PDF/Rajan2005.pdf 要するに、金融に関係するステークフォルダのインセンティブ構造が歪んでいて、CDSによるシステミックリスクが異様に大きな状況になっているので、そのインセンティブ構造を管理しましょう、という話。 攻撃され加減模様はこのとおり: http://www.kansascityfed.org/publicat/sympos/2005/PDF/GD5_2005.pdf WSJの記事にも書いてあるけれど、Greenspanマンセーの雰囲気の中、Rajanの金融関係者へのインセンティブ管理の話に対して、Summersが自由経済をダメにするものだと激しく攻撃し、Kohnが慇懃無礼に否定している。しかし、その後の現実がその二人の攻撃者の方が大きく間違っているという判断を下し、かなり面目がつぶれていると思いきや、既にSummersらは自らの間違いを認めて、Rajanの主張そのままの金融市場の歪んだインセンティブを管理改善することを政策目標ということを、自分の意見としていたりするのだ。このあたりの、負けた後の変わり身の早さがUSのインテレクチュアルズが知的レベルを落とさない肝要なのかもしれない。 このJackson Holeの有名経済学者がこぞってRajanを攻撃した後も、別の攻撃をRajanは食らっていたみたいだ。それは、IMFで書いた「外国の資金援助は発展途上国の成長には役に立たない」という結論の論文に対する攻撃だったようだ。それでも、この二つの攻撃にめげることなくRajanは研究を続けていったそうである。結局、Rajanの主張は金融危機が始まった2007年の夏に、その先駆的な業績がようやく認められ、Rajanをクレジットクランチを予測したやり手経済学者として紹介するこのWSJの記事が書かれることになるわけだ。まあこの記事には、他にもKeynesが高校以来の知的ヒーローである等が書かれていたりする。 このWSJの記事は、Rajanという気鋭の学者の紹介に因んで、Jacson Holeの出来事を伝えるものであったのだが、USの学者と為政者とジャーナリストのこういった関係はさすがだと思う。USの経済政策が良くも悪くもきちんと機能するのは、周り回ってこういった記事がメジャーな新聞社から出てくるからだし、なによりこの模様を会議の閉会後数週間以内に議事録としてWebサイトに掲載されるからだ。ちなみに、日銀の金融政策決定会合の議事録は通常要旨しか発表されず、誰がどう発言したかを見ることができるフルの議事録は10年後に発表されるだけなのだ。うーん、そんなにも責任を取りたくないのかね、君たちは。 ただし、この話題については、日本はUSより一歩先んじている。それは竹森俊平さんの「資本主義は嫌いですか」[http://www.amazon.co.jp/dp/4532353262]が2005年のJackson Holeの出来事を活写してくれているからだ。たまたま、竹森さんという類い希な文筆家かつ経済学者という人がいるから、今回の出来事のジャーナリスティックなレビューができているわけだが、本来ならば日経本紙や日経金融あたりの記者が、これを書くべきだというのがスジだと思う。 そう、いっそのこと次のようにしてはどうか。今の経済記者の行動指針のまま記事を書いたとすると、どうせ番記者がつかむリーク記事だったり、通信社と確実にカブる事件取材記事だとか、記者クラブ発表のコピペになってしまうだろう。しかし、そいつは本来的な経済誌のやる仕事でない。経済誌のやることは、「正しい経済学に基づいた経済事件の分析や解釈」だ。しかし、「正しい経済学に基づいた経済事件の分析や解釈」をすぐ実行するのは無理なのことはわかっている。そこで、まずはきちんとした研究論文を読みこなして、それを読者に紹介することからはじめたらどうか。例えば、Jackson Holeのプロシーディングやメジャーな経済学会のプロシーディング、日銀から出される研究論文、一流紙に掲載された日本の経済、金融について書かれた研究論文を読みこなすのだ。The EconomistやWSJの姿勢は基本的にはそれだ。だから研究者がオカシなことを言うと、ジャーナリストからツッコミが入るし、ジャーナリストが変な記事を書くと研究者もそれにツッコムという関係になることができるのだ。人材などいくらでもいるだろう。その学部卒の就職試験にばかり強い社員に払う同じ給料を、経済学系のポスドクを採用して割り当てればいいじゃないか。「君の使命は"The Economist"の記事を超えるクォリティのものを書くことだ」と指示を与えて。このようなことでもしない限り、日本の経済ジャーナリズムは、経済学はおろか基本的な科学リテラシーさえしらない「経済」記者がバイアスにまみれた間違ったゴミを再生産し続ける、現在のバカ記事無限ループが続くだけだと思う。まあ、それくらいがバカな国民にちょうど良い案配だ、と言われれば返す言葉もないが。
by yutakashino
| 2009-01-05 01:38
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