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2008年 11月 29日
今週号もThe Economist [http://www.economist.com/printedition/]は秀逸なレポートのラインナップとなっている。その中で、Citigroupの救済に因んだ米国政府のかなり踏み込んだ対策について、特に目を引く報道をしている。これはマッタク日本では報道されてないようなので、僕程度の経済学の知識の持ち主であっても、記しておいて損はないだろう。
Unorthodox economic policies - Plan C [http://www.economist.com/finance/displaystory.cfm?story_id=12689745] Citigroupの救済報道に関しては、日本の報道をみていると、2000億ドルの政府保証だけが話題になるけれど、The Economistによると、本当のキモはそれ以外の5000億ドルのMBS(mortgage-backed securities)を、米国政府がスポンサーになる企業によって保証するというものだそうだ。これが、何でスゴク踏み込んだ対策かというと、不動産ローンを担保にした証券を政府が直接的に保証する、つまり不動産ローンの貸し手が米国政府になる、ということなのだ。もともとFannie MaeやFreddie Macといった機関が不動産ローンの貸し手として、米国民のモーゲージ資産を管理していたのだが、いまではこちらも政府が直接保証することになっていて、結局のところ現在では、住宅ローンのかなりの部分が米国政府が国民に向けて直接的に貸していることになってしまっているのだ。 今回は住宅ローンだけれど、AIGへの保証は既に行われたし、これがGMなどの巨大企業の債券にだって適用されないとは限らない。つまりだ、US国民はそのうち何ともSFチックな事態になるかもしれないのだ:人生の一番大きな借金である住宅ローンを米国政府に借り、二番目の大きな借金である生命保険も政府保証の保険会社のものに加入し、勤めている会社の最大債券の引き受け手は米国政府であるという状況。これはすなわち、資本主義を究極推し進めた結果、共産主義よりも過度に進んだ形で財産や生産手段が国家の社会的所有になる可能性があるのだ。事実は小説より奇なり、というか、なんたる皮肉、なんたるブラックな状況だろうか。
by yutakashino
| 2008-11-29 23:26
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