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2008年 04月 11日
Tom Sawyer and the construction of value
Dan Arielyの"predicably irrational"に出てくるトピックの関連論文である。人間の財に対する価値付けなんて、最初の条件付けで操作できるし、価値の量的な判断は人間には難しいというのが結論。 トム・ソーヤー効果というのは、「トム・ソーヤーの冒険」に出てくる、トムがおばさんから壁のペンキ塗りを言いつけられた逸話による。最初トムは嫌々ペンキ塗りをやっていたのだが、友達の登場により、さもそれが楽しいまたは芸術に関係した崇高な作業のような振りをした。それがあまりに楽しそうなので、友達がリンゴだとかおもちゃなどの自分の対価を払ってまでも壁塗りをやりたがるようになって、トム自身は一切ペンキ塗りをしなくてもよくなった。つまり、トムが行った初期状態の設定により、嫌な壁塗り作業が対価を払ってまで行いたい価値のあるものに転換されたというストーリーである。 これが実際の社会で起きるかどうかを、行動経済学の文脈で実験したのがこの論文である。実験で使ったのはある詩(Walt Whitmanの"Leaves of Grass")の朗読で、これをDan Ariely(決してプロのポエトリリーダーでない)が朗読するリサイタルに被験者として参加することを、二つのグループへのタスクとする。一つのグループはリサイタルに参加するのに自分からお金を払う。もう一つのグループはリサイタルに参加するのにお金をもらう。これはどういう意味があるかというと、お金を払う方は聞かせてもらうという設定で、お金をもらう方は我慢して聞いてやるという設定である。これを朗読時間の長さやお金の設定を変えて試してみて、三つの実験を行う。 詳細は論文に譲るが、お金を払うほうともらうほうでは、同じDan Arielyの詩の朗読リサイタルに対する価値付けでも全く異なる。払う方は朗読リサイタルの価値が高い傾向を示す。つまり、長い朗読にはよりお金を払い、無料だと参加者が増える。一方で、もらう方は朗読リサイタルの価値が低い傾向を示す。つまり、長い朗読にはよりお金をもらわないと参加しないし、無料だと参加者が少なくなる。 面白いのは、その値段の額自体は普通の人間では把握できないものであることを示すのだ。まず、質問フォームに自分の社会保障番号の末尾の数字を書いて、その数字が偶数ならば朗読リサイタルの参加に対して数字のUS$をもらい、その数字が奇数ならば数字のUS$を払うとする。その後無料のリサイタルへの参加の有無を聞くのだ。するとその数字のどれだけ多い少ないというよよりは、払う、もらうという二値が無料リサイタルへの参加の決めることがわかった。 経済学で仮定するホモ・エコノミクスは、自分の財に対しての価値付けをはっきりとわかっているとされる。価値付けがわかるから、選好に基づく効用関数だとか限界効用逓減の法則などが経済学の基礎として導かれる。しかし、この論文ではトム・ソーヤーの逸話にあるように、最初の条件付けにより財の価値を容易に転換できるばかりか、その価値を計量すること(経済学の言葉では序数的可測性の仮定)は普通の人間には難しいようだ。 面白い!
by yutakashino
| 2008-04-11 12:20
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