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2007年 07月 14日
科学の基礎となる世界観にも、流行廃りというのがあって、事態を思いっきり単純に二元論的にいってしまうと、それはホーリズムとリダクショニズムのせめぎ合いによるものではないかと思っている。
ホーリズムとは、全体は部分に還元できず、全体は部分の和以上のものであると見なす、アリストテレスの形而上学をはじめとする考え方のことだ。これに対して、全体は部分に還元可能だし、部分は全体に統合可能だと規定する、デカルト流のリダクショニズムがある。ホーリズムとリダクショニズムは正反対をなしているとされる。 最近、福岡伸一さんが新書を中心に盛んにエバンジェリングをしているシェーンハイマーの「動的平衡仮説」なんて、典型的なホーリズムである。その他にも、ニールス・イェルネの免疫ネットワークや、デビット・ボームのホログラフィックユニバースのようなものもある。80年代から90年代中盤まで流行って廃れた複雑系科学は、ホーリステックな見方を還元論的分析的にやろうとして失敗した一つの例だ。 心理学でいうと、ゲシュタルト心理学。哲学でいうと、ホワイトヘッドのアクチュアルエンティティがプリヘンジョンしている様なんて、まさにホーリズムそのものだし、ベルグソンの純粋持続や西田幾多郎の場所もそうだ。宗教なんて、ホーリズム以外の世界観を考えるのは難しい。 しかし、科学の領域に限定してみると、ホーリズムというのは必然的に負ける運命にあるものだと思う。それは、次の理由だ。リダクショニズムで捉えた体系は、還元的に分割していくことができるので、階梯だとか教程を作りやすく、理解者を増やすことができやすい。その一方で、ホーリズムは、そのもの全体を把握するしかないから、ラーニングカーブが大変キツイ。言ってみれば、ホーリスティックな世界観は、詩や禅の公案と同様、わかるかわからないかだ。わかっている人にはわかる。しかし、何かスゴイけれど、ロジカルには説明できない。それがホリスティックな世界観をもつ考え方の魅力でもあり、限界でもある。わかった人にはスゴイけれど、わからない大多数の人にはただのブルシット、それがホーリズムの絶対的な弱みだろう。つまり、ホーリズムは、その本質的な特質として、マーケティングに致命的な欠陥を抱えているのだ。 今回プチ流行っているシェーンハイマーの動的平衡仮説も、すぐに廃れるのが目に見える。だって、科学なのにきちんとロジカルに証明できず、詩的にしか語ることができないシロモノなのだから。そう、福岡さんのような圧倒的筆力の詩人科学者なんてそんなに存在しないので、すぐにそのマーケティング活動が止まることは明らかだからだ。 でも、そうは言っても僕自身はホーリズムの大ファンである。そのために、27歳のときにわざわざ某通信大手の研究所を蹴って、ビミョウすぎる某研究所に行き、人生棒にする寸前までいったわけだし。ただ、その痛すぎる経験から、ホーリスティックな世界観は、研究者個人の趣味の問題だけで、複数人の飯を喰わすことができないブルシットや信仰告白のようなものだと考えるプラグマティストにもなったわけだけれど。 いずれにしろ、科学界がホーリズムを受容するのは、予算的にも雰囲気的にも余裕が出てきた証拠なのだから、大変結構なことだと思う。そして、このホーリズムと生物学の世紀になるといわれているムーブメントがうまく結びつくと、面白いことになりそうだなあという期待があるのだ。
by yutakashino
| 2007-07-14 19:59
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