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2007年 05月 02日
最近、クラシックがドイツと英国あたりから盛り上がっているのだ。もちろん、日本も「のだめ」のブームもあって、ちょっと盛り上がったみたいだし。
それは、いわゆる巨匠だとか演奏家の演奏を有難く聴かせていただくなんて、いわゆる「レコード芸術」を購読している「クラシック愛好家」のような聴き方ではない。視聴者の嗜好に合わせた、顧客志向ともいえるトレンドである。つまり、クラシック音楽業界では今まで省みられることがなかった視聴者である「顧客」にターゲットを合わせ、その顧客満足度を上げることを志向する、レコードレーベル、クラシック専門局が成功しているのだ。そしてそのことが、もう「終わった」音楽であるはずのクラシックに、まっとうなビジネス化が起き、再びクラシックが注目されつつあるのだ。 そのひとつがドイツのNaxosである。いわゆる廉価版CDのレーベルと思うなかれ。これが、グラモフォンやEMIの向こうを張って、かなりクォリティ高いのだ。そして何よりも、取り扱う音楽のバリエーションが広いのが特徴である。なにせ、二百数十万曲のそれなりのクォリティの楽曲が、オンラインライブラリとして年2000円以下で楽しめるのだ。音大生のリファレンスに使われているほどに、あまりにリーズナブル過ぎるのだ。 また、オンラインのクラシック専門局も外せない。オンラインと言えば、代表的なクラシック専門放送局はUKのClassicFMだ。ここはFM放送局というよりは、オンライン、Pod Cast、ストリーミングビデオ、衛星放送、デジタル放送と、メディアとしてはなんでもありである。ここが革命的なのは、NHK FMの放送局のように、交響曲や歌劇などを全楽章続けて放送しようとする気がさらさらなく、顧客の好みに合わせて、一楽章はおろか、メインモチーフを中心に大胆に編集することも厭わないその姿勢にある。このことが、忙しい現代人のライフスタイルに合うために、人々の支持を集め、とてつもない成功を収めている。 ただ僕自身について言うと、MusicMatch, Rhapsodyなどの音楽専門ストリーミングメディアが大手インターネットメディアに買収され、どうしょうもなくつまらなくなり、死屍累々になってしまった2年くらいまえから、ClassicFMを時々聴いていたのだが、最近はあまりに人気が出てしまって、CMがうるさくてかなわなかった。 だがその不満も、この4月から放送が始まったTBSラジオがオンラインで放送するOttavaで、完全に払拭された。この放送局はありえない。今のところ素晴らしいのひと言である。朝だったら朝の、昼だったら昼の、そして夜だったら夜の雰囲気に合わせた楽曲が、かなり良い選曲センスで流れるのである。 このように、クラシック音楽にもきちんとした顧客志向の流れが始まり、ようやくきちんとしたビジネスが始まりそうなのだ。この流れは、個人的にとても支持するのである。
by yutakashino
| 2007-05-02 02:09
| Music
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