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2007年 04月 08日
アフリカにょろり旅 すごく面白い! 東大海洋研でウナギの類縁系統関係を研究する著者である助手と博士課程の学生が、幻のウナギ「ラビアータ」を捕獲するべく、アフリカはマラウィ、ジンバブエ、モザンビークを放浪探検する珍道中である。今から7年前、2000年の夏から秋までの三ヶ月くらいをかけて、このウナギ捕獲冒険は行われたそうだ。 著者の青山さんは、元青年海外協力隊の隊員で、ウナギの捕獲を南米やアジアですでに行い、開発途上国経験が豊富な研究者である。研究テーマは遺伝子解析からウナギの類縁系統関係を調べることだ。なぜ遺伝子なのに、冒険なのと思う向きはあるだろうが、遺伝子研究をするためには、個体がなくてはならず、そのために生きたサンプルが必要なのだ。青山さんのパートナーは、博士課程の学生で、既に何度か青山さんとウナギの捕獲旅行に出かけている渡辺さん。研究テーマはウナギの形態からウナギの類縁系統関係を調べることである。つまり、二人ともウナギの類縁系統関係というわけである。ウナギの類縁系統関係の完全な研究をするためには、すべての種類のウナギが必要であり、その最後の種類といわれているのが、アフリカに生息しているといわれている「ラビアータ」というわけだ。 旅の途中まで参加していた、ウナギ研究の世界的権威である塚本教授がまたキャラ立ちしている。ひょうひょうとしているのに、タフで、しめるところはしめるというカンジだ。 著者達のウナギを捕獲する方法は、市場や漁村でウナギを高く買うと言って、現地人にとらせる方法と、自分でウナギがいそうな川や湖に出かけて、ウナギを釣る方法である。どちらも、幻のウナギを手に入れるにはあまりに心許ない。そもそも、ほとんど情報を持たずに、現地で何とかしようと乗り込む、あまりにイキアタリバッタリで、高度情報化社会を全否定する作戦に、オトコの心意気を感じる。 このように、幻のウナギがいつ手に入るかは全く予想できないために、できる限り安い手段で移動をし、できる限り安い宿泊を行う。そのために、旅はバックパッカーさながらの様相を呈する。例えば、あまりに安宿に泊まるので、トイレがあまりに不衛生で、水も流れない。従って、各様の用足し方法を独自で編み出し、それを「洋式中腰流」とか「三点支持法」とか名付けるのが、バカバカしいったらありゃしない。 しかし、不衛生の話にしても、ただの馬鹿話で終わらず、そこかしこに著者の生物学者としての見解が見えるところが、この本がただのバックパッカー冒険談で終わらない魅力となっている。例えば、次のようなくだりがある。 開発途上国を歩いていると、自分が日本人であることを恨めしく思うときがある。現地の人々がごく普通に口にする水や食べ物にやられるのだ。特に高度経済成長期以降に育った日本人は、まさに無菌培養そのもので、地球上へ飛び出せば、そこは目に見えない魑魅魍魎の跋扈する世界だ。 不衛生に加えて、過酷な猛暑と環境、そしてラビアータが手に入らないという落胆感が重なり、交互に体調を壊したりする。もうダメかと思われた矢先に、以外に簡単なところで幻のウナギを手にするのだ。 このアフリカ旅行の後に、塚本研と関連研究者の面々は「ウナギ(ニホンウナギ)は、新月の夜、マリアナの海山で産卵する」という仮説を、10年近い海洋調査を経て、ほぼ証明することができた。ウナギの産卵場といのは長年の謎であったのが、ウナギの生後二日程度の仔魚をみつけることで、ほぼ確定したわけなのだが、この「ほぼ」が塚本さんには納得できない。卵を見つけてないので確定ではないというわけだ。それに対して、著者の青山さんは、ウナギの産卵場確定研究に対する批判(研究ではなく博打だという批判)もあるので、この結果で充足するべきだと主張する。それに対して塚本さんはわかったと言うが、次の言葉を付け加える。 …でもね、青ちゃん。誰がなんと言おうと、いつの時代にも、どんな世界にも、やっぱり冒険は必要だよ。それもわくわくするようなスケールの大きな冒険が必要だと思うよ。 とにかくバカらしくて、面白くて、でも一生懸命で、大いに感動する。科学ってやはり、端からみるとバカみたいな個人の執着に、冒険とロマンを合わせたモノなんだなあと、感じ入る。オススメ!
by yutakashino
| 2007-04-08 00:03
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