会議の政治学
一見すると分析的な学問風味だが、内容は諧謔とパロディに富んでいて面白い。
会議を運営する座長や運営スタッフの観点から、審議会や懇談会、委員会をつつがなく終わらせるための政治・行政手法、そしてマスメディアとの関係の仕方を述べたエッセイである。体系化して書いているように見えるが、その項目がMECEでないこともわかるように、そして、著者自身がその成立過程を、
本書は、そもそもは退屈でフラストレーションの溜まる会議の最中に、会議の退屈な理由と運営の効率化の方法について考え、作成したメモが出発点である。
と述べているように、シニカルなエッセイと見るのが正しい。
会議の模様が戯画化されて記述されてはいるのだが、ここで述べられている各論は、現実的に役に立ちそうなのが、「事実は小説より奇なり」を地で行くカンジである。参加委員の類型化とその類型別の対策、レトリック的答弁の類型化と会議を優位に進行させるための答弁術、目的の答申に近づけるための委員の選考方法、アジェンダセッティング、資料の作成方法、そして根回しと答申作成術、更にはマスコミへのリークを含めたマスコミとのつきあい方。どれもが、現実に適用可能である。
座長や運営スタッフは会議をつつがなく終わらせるということをゴールとする、ということが、いかにそれらの会議の存在意義が大きくないものであるかを逆照射させるという、高度なテクで提示することが何よりも素晴らしい。
おもしろい。オススメ。