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2006年 12月 12日
自然エネルギー等のエコロな人たちへの批判キャンペーンを目下絶賛展開中のThe Economistが、有機食品、フェアトレード、フードマイルの三点セットを批判している。土日や夜に登場するFMラジオのエコロ女子やエコロオヤジ(エロオヤジでないぞ)だとか、身辺近くのエコロな人たちの言い分にインチキ臭を感じていたので、この記事には得心した。 Voting with your trolley 趣旨は、有機食品もフェアトレードもフードマイルもどれもエコロな人たちが騒ぐほどに、マーケティング効果以外の効果はないし、むしろ地球や農民にやさしくない、というもの。 有機食品は環境にやさしくない。有機食品の定義を、合成の農薬や肥料を厳しく制限したり、遺伝子組み換えをしないで生産された食品とすると、有機食品は、普通の農薬や合成肥料を用いた食品よりも、1/3から1/5倍も収穫高が低い。ということは、今の食料供給量を維持するには3倍から5倍のの農地が必要であるということ。つまり、食品をすべて有機栽培にすると、いまの熱帯雨林を焼き払う必要があり、そいつは地球にやさしくないでしょ、というわけである。 フェアトレードは農民を苦しめる。コーヒー豆のような値段の低い商品は過剰生産を産みがちである。たとえば、コーヒー豆が過剰生産されれば、コーヒー豆を取引する値段が下がるので、儲からないから農家はコーヒー豆を止めて他のものを生産するようになる。そうすると参入する農家が減るので、生産量が減り、値段がまた戻る、というのが通常の市場だ。ところが、フェアトレードのようなプレミアムを特定の農家に払うと、そのようなラッキーな農家は過剰生産の時であってもコーヒー豆の生産を続ける。そのことが他の農家の参入を呼び、豆の値段はますます下がる。それでもフェアトレードのプレミアムの享受を受ける農家は問題ないが、他の農家はますます貧しくなるという、市場の歪みが生じる。 フェアトレードの弊害はそれだけでない。最低価格がフェアトレードにより保証されているから、たとえばコーヒー豆の質を高めようというインセンティブが生じにくい。さらに、決定的なフェアトレードの偽善は、フェアトレードの商品の価格は通常の商品よりもかなり高いが、この利益の90%は小売り側の儲けに消えてしまい、農家には10%しか渡されないということだ。つまり、フェアトレードを推奨する人間が、フェアでないという笑えない話だ。 フードマイルはインチキな指標だ。遠くで生産されてる食料よりも、近くで生産される食料のほうが、輸送距離が小さいので輸送のためのエネルギーが低く済む。それ故、地球に優しいというのは直感的には正しそうだ。だからそれをはかるのに、フードマイルという指標(計算はかなり複雑なようだが、大雑把にいうと、「食品の重さ」*「距離」である)をつくったそうだ。この議論が破綻するポイントは、それらの食品を大規模小売店のような組織的な小売りから買うのでなく、近くの農家がやっている小さな野菜販売所だとか、生産地近くのエコロショップのようなところで、直接買うことにある。たしかに、生産地に近い販売所ならば、「食品の重さ」*「距離」は小さくなるだろう。これは生産者と小売りの間の距離だ。しかし、本当は生産者-小売り-消費者といように、小売りと消費者の間にもフードマイルは存在する。エコロショップは生産者の近くにあるとすると、生産者-小売り間のフードマイルは低いが、人口が多い都市の住民が地方のエコロショップまで車で買い出しに行くような状況を考えると、小売り-消費者間のフードマイルがバカにならないことがわかる。むしろ、The Economistがあげている英国の環境農業省のレポートによると、都市の真ん中に大規模小売りがある場合よりも高くつくそうだ。 上記レポートではさらに、冬期に英国で温室栽培されたトマトより、スペインからトラック輸送されたトマトのほうが、エネルギーの観点で環境にやさしいといことも言っている。さらにはニュージーランドのLincoln大学の調査では、イギリスで飼育された羊より、ニュージーランドから運ばれてくる羊の方が、エネルギー消費が低いので地球に優しいとのことである。 それ以外に、フードマイルは、農業保護主義のような別の不健全な政治的動機に結びつきやすく、怪しくなりやすい。また、地域の生産物を食べましょう、なぜなら新鮮だからです、なんて理由も、たとえばケニアで収穫されたサヤインゲンが次の日には英国に届くという、現代の超効率ロジスティクスの前では、ただの屁理屈だ。 というような具合で、ちょっと極端に言ってしまうと、有機食品、フェアトレード、フードマイルは思考停止のインチキであると、The Economistは言っているわけであるが、バスワードによるマーケティングの価値は認めている。でもそれって…
by yutakashino
| 2006-12-12 22:21
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