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2006年 02月 23日
エンプロイアビリティという言葉がある。
経団連(旧日経連)の定義によると「転職を可能にする能力」および「当該企業において継続的に雇用され得る能力」だそうだ。エンジニアや経理の専門職としてのスキルや過去の職業的経験などの履歴書や職務経歴書に明示できる能力は転職能力と雇用継続能力のどちらにも必要なものであるだろう。 いまここで話題にしたいのは、雇用継続能力に関係する、書面に明示できない能力のことである。それは例えば、どんなに上司が不合理でもその不合理に耐え続けるとか、上司を批判したり非難したりしないとか、どんなにバカらしくても与えられた課題を至上のものとみなすことができるとか、レポートラインを必ず守るとか、間抜けな稟議を滞りなくなくまわせるとか、つまらない事前根回しに長けているとか、明示的な社内ルールはもちろん暗黙的な社内慣習にまで忠実であろうとする態度だとか、そいうった所属企業に忠誠でありつづけることができるような属社内的でインターナルな能力のことである。こういった能力を持つ者は、雇用者からみれば、「従業員"employee"」の鏡であるが、必ずしも「職業人("worker")」でななく、むしろ被支配的である「労働者("laborer")」である。したがってこの能力を「レイバラビリティ("laborerability")」と名づけることにしよう。 どの組織にも大変有能でしかもレイバラビリティに優れた中間管理職が存在し、その中間管理職がいるからこそ、どんなにマネジメントがいい加減であっても、きちんと業務がまわっている事実がある。こういったレイバラビリティに富み、自ら進んで「泥をかぶる」従業員は簡単に考えると企業になくてはならないように思える。しかし、これは本当だろうか? たとえば、業務の要求量と利用可能リソースのバランスを著しく欠いているプロジェクトがあるとする。マネジメント層はプロジェクトを中間管理職に押し付けたっきりさっさとハンズオフしてしまい、マネジメントの立場から業務の要求量を減らすこともしないし、リソースを増やすこともしない。まあ、日本企業で大変ポピュラーに展開される光景である。ソフトウェア業界ではこの状況を「デスマーチ」と名づけている。こういった、オーバーロード状態のプロジェクトでは、参加人員は皆疲弊し、考えられない残業時間をこなし、モーチベーションも最低な状態にいる。そしてこういった状態にも関わらず、何とかプロジェクトが回っているのは、件の中間管理職の職業的有能さと中間管理職を含めた従業員のレイバラビリティによるものである。しかし、単純に考えて、これはマネジメントのディスアビリティを単にカバーアップしているだけに過ぎないのではないのか?このレイバラビリティこそが、問題を隠蔽化する原因なのではないか? 当該プロジェクトは幸運の連続により何とか着陸させられたとしても、マネジメントのディスアビリティには一切の改善がないために、次のプロジェクトにも同じ状況が引き起こされやすいのは火を見るより明らかだ。つまり、マネジメントのディスアビリティこそが本当の問題であるのに、レイバラビリティによって本当の問題が改善される機会を損失しているのである。 またレイバラビリティはマネジメントレイヤーで行うべきオペレーションをわざわざ現場のレイヤーまで落とすようなインセンティブ構造をつくりやすい。忠誠心のある有能な部下にオンブにダッコのバカ上司というわけである。そしてこれはコストの問題を引き起こす。つまり現場レイヤーでカバーアップするコストよりもマネジメントレイヤーで行うオペレーションコストのほうが格段に安い。しかし、レイバラビリティによりオペレーションがすべて現場レイヤーで行われやすくなり、コスト増を引き起こす。 たしかに、お役所だとか官僚組織では、定型化された業務を大量にこなす必要があり、そのための生産ラインの品質保証としてレイバラビリティは必要にもなるだろう。しかし、営業環境がダイナミックに変わっている渦中にあるほとんどの企業では、そのようなレイバラビリティこそがマネジメント失敗の未改善・オペレーションのコスト増を引き起こすという致命的な原因となりかねないので、手放しに許容できないはずだ。 結論じみたことを言うと、レイバラビリティはローカルには所属企業への忠誠(ロイヤリティ)をあらわすのだろうけれど、企業全体としてみると企業価値を毀損する可能性を大いに持っているということだ。そして、このレイバラビリティの問題にしても、マネジメントの問題に還元できる。レイバラビリティを、企業価値を壊す「デストロイヤビリティ」にするのではなく、「ロイヤリティ」に結びつけるのも、結局はマネジメントのスキルである。
by yutakashino
| 2006-02-23 22:18
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