My online activities
検索
以前の記事
2013年 02月 2013年 01月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 08月 2005年 07月 2005年 06月 2005年 05月 2005年 04月 2005年 03月 2005年 02月 2005年 01月 2004年 12月 2004年 11月 2004年 10月 2004年 09月 2004年 08月 2004年 07月 2001年 01月 カテゴリ
全体 Math Science Book Log Misc Business Music IT Food Topic Movie Art Stat Politics Muttering Off Topic 未分類 ブログパーツ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
2006年 02月 05日
下山事件 - 最後の証言 「あの事件をやったのはね、もしかしたら兄さんかもしれない…」という大叔母がつぶやいたひとことから始まる、作者の祖父柴田宏をめぐる「下山事件」解明の一大ミステリー。これは面白い! 「下山事件」は敗戦後のGHQ支配下の日本で連続しておきた三大国鉄未解決事件(それ以外は三鷹事件、松川事件)のひとつである。1947年7月5日、初代国鉄総裁 下山定則(国鉄自体がわずか一ヶ月前に成立)が日本橋三越本店で失踪し、翌日の未明に足立区五反野の常磐線上で礫死体となって発見された。警察捜査は自殺で強引に片付けられたが、他殺説が濃厚で、犯人も国鉄労組の強硬派説、GHQ謀略説、共産党急進分子説など多岐にわたる。松本清張をはじめとする多くの推理小説家、新聞記者、ジャーナリストがその謎解きに翻弄されるという戦後史最大のミステリーである。 下山事件と陸軍特務機関を出自とする亜細亜産業の関係を、そしてその亜細亜産業のコアメンバーの一人であった著者の祖父の正体を、近親である大叔母、母、大叔父、叔父の証言から、そして下山事件に人生を捧げることになったジャーナリスト斉藤茂男から、そして膨大な文献に当たって解き明かしていく。何よりも圧巻は亜細亜産業総帥の矢板玄(栃木県矢板市の矢板である。つまり矢板市を作った家系)を尋ねて本人から聞いた事件に関わるエピソードだ。これを読むだけでもこの本を購入する価値がある。 GHQ支配下の日本において、GHQ内部の民生局と参謀第二部(G2)の抗争、GHQとCIAの争い、大陸系の旧陸軍特務機関系上海・満鉄人脈(三浦義一、田中清玄、児玉誉士夫、四元義隆)と政界(吉田茂、白洲次郎、佐藤栄作、岸信介)・産業界(三菱、東芝)・官界とのつながり、産業界における労使関係の混乱と防共の旗印のもとの右派のファミリー化、朝鮮系スパイや旧731部隊の暗躍などを背景として、亜細亜産業の役割が明らかになっていく様は生々しい。特に矢板玄が直接著者に話した亜細亜産業が昭電疑獄に直接関与したエピソードなどは当時の状況を生々しく伝える。 残念なことに亜細亜産業の下山事件への直接のかかわりと、下山総裁謀殺の犯人はこの本では明示されていない。しかし、膨大な国鉄利権を守ろうとする集団、防共のために事件を利用しようとする集団、日本における長期の米国傀儡政権をもくろむ占領国側、そして国鉄の外資買収を防ごうとする日本政府といった、四者の絡んだ結節点でおきた事件であることが提示されている。 これだけ面白いと、下山事件の真実だとか事実だとかはさておいて、とにかく楽しめる。また、下山事件に関する著者であり最近著名になってきた森達也はジャーナリストとして著しく信頼がおけない人間であることがこの書籍に提示されていたりして、まさに天網恢恢でインチキはやれないということですな。 この本はオススメですよ。
by yutakashino
| 2006-02-05 20:43
| Book
|
ファン申請 |
||