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2005年 12月 11日
失敗百選 すばらしい。必読本のひとつ。 「新聞を賑わせた」日本を中心とした世界の大事故・大失敗を、シナリオ分析して、41個のパターンに分類し、とてもわかりやすく配置した本。 著者がこの本を書いた動機は、失敗事例を他山の石にできない人間の性質をなんとか克服するためであると考えたことにあるそうだ。著者も中心として関わっている失敗知識データベースには、1000件を超える失敗事例が分析済みのデータとして蓄積されている。しかし、いくら事例が増えたとしても、それを自分の糧とできないならば意味が無い。そして失敗を他山の石にできるという根拠は、事故の規模に関わらず、ある種類の同じパターンで事故が起きている事実があり、そのパターンを利用することができるという推定が働くからだ。例えば、コンコルドの廃止にもなった2000年の墜落事故は、直前に離陸したDC-10が落とした金属片を踏んだことにより、タイヤが破裂したことが原因だった。これはバナナの皮で人が転ぶ失敗と同じ「落下物によるもらい事故」パターンである、というようにするのがこの本の立場だ。そして、このような共通パターンを41パターン洗い出して整理したのが、この書籍だ。 さらにこの本は、上記パターンをもとに失敗を前もって予知する能力を高め、失敗を未然に防ぐことを目指している。この失敗予知の能力について、特に共感を覚えたのが、次のような思考パターンを行うことが失敗予知を高めるという部分だ:まず具体的な課題事象を前にして「つまり」・「ひとことでいうと」で抽象概念を抽出し、「あれと似ている」で類似事例を検索し、その類似事例を「たとえば」で目の前の課題事象に適用する。 具体的な事例の説明についても、目から鱗が落ちるような記述がされている。例えば、有名なスペースシャトルチャレンジャーの爆発事故では、ロケット燃料を密封するゴム製Oリングが、低温化で硬化してしまい、燃料が漏れたことが爆発の原因だったとされていた。そして、事故調査委員会でも氷水に入れたチューインガムが硬くなることを示したファインマンのデモンストレーションは象徴的だった。しかし、気温程度の温度範囲では、ゴムの弾性は落ちるとは必ずしもいえないデータがあったこととや、今までも燃料の漏れはおきているが爆発は起きてなかったことがあったという事実が、この書籍ではじめてわかった。うーん、技術者倫理のケーススタディの格好の例で、大学入試や大学院入試の小論文に多用されているのがこのチャレンジャー事故であるが、実際のところコトはそんなに簡単ではないようだ。 また、たくさんの原発事故も取り上げられていて、マスコミに大騒ぎされるわりには原因がさっぱりわからないモヤモヤ感が解消される。例えば、高速増殖炉もんじゅの事故原因は、放射能を含まない二次冷却用のナトリウム配管に挿入された温度計「さや」が、ナトリウム流体の乱流渦と共振した結果、さやのもとが疲労破壊されて、そこからナトリウムが漏れたことだということがはじめてわかった。じゃあ、なぜそんなに大騒ぎして10年を過ぎても運転再開できないんだ、ということになると、当時の動燃(現在核燃料サイクル開発機構)が事故後に情報操作をしたことがマスコミにばれたことが原因だそうだ。放射能漏れじゃなくて、マスコミ対応のまずさが致命症だったとは。 このように、この本はなるほど感がいっぱいのおススメの一つだ。こちらでもオンラインで「失敗百選」が閲覧できる。ちなみに、41パターンなのになぜ「百選」であるというのは、法学部の学生や法学系資格試験の受験生が必読の有斐閣の「判例百選」にあやかったそう。
by yutakashino
| 2005-12-11 19:15
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