影響力の武器
日常生活で行われるアヤシゲな勧誘とか販売誘導とかに、なぜ人が影響力を受け(だまされ)るのかを、著者である社会心理学者チャルディーニが参与観察を通じて研究したことが書いてある。
人間が他者から影響を受けやすい(要するにカモになりやすい)のは、つぎのような6つの文脈であるとされる。
・返報性 - お返しをせざるをえない状況をつくる
・コミットメントと一貫性 - 人のコミットメントを引き出したり、人の持つ一貫性を保つ行動特性を利用する
・社会的証明 - 多人数の他人の行動こそが正しいかもしれないという人間の弱みを利用する。
・好意 - 対象人物が好意をもっている人間を利用する
・権威 - 社会的に確立された権威を利用する
・希少性 - もう手に入らないかもしれないという制限を利用する
実はこの本が面白いのは、こういった社会心理学的な影響力の原因カテゴライズだったりするのではなく、著者がアヤシゲな宗教団体に参加したり、セールスマンとして物を売ったりする過程が書かれていることだったりする。
そもそもこういった研究をすることのきっかけは、著者が他人からよくだまされていたので、そういった自分を改善したかったことにあるという。
まあ、通常の社会学によくあることであるが、この研究自体は主観と根拠レスが入り混じって、到底科学とはいえる代物ではないが、面白さの点ではオススメできる。なによりも、日常に役に立つためのヒューリスティックとして利用できる点でオk。