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2010年 06月 20日
昨日「フリー」になった以下の本はオススメ。
William Stein Elementary Number Theory: Primes, Congruences, and Secrets http://wstein.org/ent/ SageのクリエイターであるStein先生が書いた数論入門である。数論初歩の中でもRSA暗号や楕円暗号で利用されている数論的要素、つまり剰余環や合同式やフェルマーの小定理や連分数や楕円曲線など、の初歩を教えてくれる。Sageのクリエイターが著者であるということは、もちろんSageのコードで実際に「実験」しながら読み進めることができるということでもあるので、数学があまり得意でないプログラマの人達にも(英語がある程度読めれば)ムチャクチャためになる入門書となっていると思う。この本は、数学専攻でない教養の数学講義や、理科系の一年生の実験数学入門コースや、情報系の暗号基礎のコースにも最適だな。というか、高校生にやらせてもいいじゃないかと思う。 この事例をみてもわかるように、ある程度の入門的な数論や線形代数や微積や微分方程式や複素解析などはSageやOctaveで学習できるし、確率論や統計学はRを用いて学習すればいい時代になってきたのだ。数学学習に、定評あるオープンソースソフトウェアを利用することで、学習の敷居を下げ、実際に数学実験を行い、ある程度ショートカットしながら学習できる。これはホント素晴らしい時代になったと思う。 もちろん、プロの数学者になるための人がもつ学習態度としてそういったショートカットをすることは議論の余地がある。数学者のブログやtweetをみても、数学の学習は従来通り本とノートを真黒にしながら繰り返し学習するべきだ論が多いようだ。プロの養成課程について、それを目指すことは否定はしない。しかし、これだけ高度な知識社会になって、数学科の学生でさえほとんどの学生が数学のプロにはならず、それにも関わらず誰もが陰に陽に数学ユーザであるという現状がある(ECサイトで買い物するとき誰もがSSLを使ってるでしょ?アマゾンに勝手にリコメンドされちゃうでしょ?携帯で通話するときはCDMAなどの変調方式使ってるでしょ?自分のマンガを「自炊」するときにスキャンデータが符号化されるでしょ?)。その数多くの数学ユーザーに対して、数学を勉強するときは姿勢を正して机に向かって紙と鉛筆で論理を構築しなければならない、と訴えるのはあまりにも現実を知らなすぎるというものだ。それよりも、厳密性をある程度犠牲にしたり、ショートカットを大目にみながらも、できるだけ多くの数学ユーザに数学の知識を広くスピルオーバーさせることのほうが、イノベーションの基礎となるし、数々のハザードを事前に防ぐことにも繋がるだろうしで、より一層重視するべき方向性だと思う。 その意味で、このStein先生のアプローチはムチャクチャ有効だし、これに準ずる教材がドンドン増えるべきだ。もちろん日本語でも。
by yutakashino
| 2010-06-20 10:33
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