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つぶろぐ
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2009年 11月 07日
Po Bronson & Ashley Merryman "NurtureShock"http://www.amazon.com/dp/0446504122 自己の来歴に絡んだ内省的なドキュメンタリーを得意とする、Po Bronsonの新著である。今回は子育てに関係する最近の科学の成果をとりあげ、子育ての因習的な偏見を糺すことをメインテーマとしている。 最近まとまって本を読む時間がないので、本が積ん読になりがちなのは前のエントリでも愚痴ったところだが、それではマズイと、取り急ぎ二章分だけ読んだので、忘れないうちにメモをとっておく。今回はその中の第一章の"The Inverse Power of Prise"、つまり子供を褒めることの悪影響についてである。 この第一章については、すでに数多くの米国を中心とするメディアの書評でもブログでもとりあげられていて、ある意味話題沸騰中のコンテンツだ。この章が主張するのは、最近の認知心理学、教育心理学の成果によれば、子供を無条件、無闇に褒めるということは、その子の成長にとって少なくない悪影響があるということだ。その根拠は、Stanford大学のCarol Dweck氏の研究に拠っている。 Dweck氏は実際に小学生を対象に学力テストを行い、その子の知性や人格を無条件にワンフレーズで褒められる群と、その解き方やアプローチの方法をスペシフィックに採り上げて褒められる・もしくは失敗してもそのがんばりについて褒められる群に分け、実験を行った。その結果、無条件に褒められる群は失敗に対して弱く、一度失敗するとチャレンジする意欲を失いがちで、問題の解決よりも自分が褒められるということに関心を向けやすい。一方で、スペシフィックに褒められる群は、失敗に対してロバストで、再チャレンジや新しい対象に対する意欲を保ちやすく、問題自体に関心を向けやすい。しかも深刻なのは、この効果は数年に渡る長期の観測でも認められるというものである。このDweck氏の結果は、Illinois大学のFlorrie Ng氏の米国・香港の子供を対象にした観測実験でも確かめられているそうだ。 また、Columbia大学のGeraldine Downey氏の観察によれば、常に褒め続けられて育てられた子供は、甘ちゃんな子供というよりは、非常に好戦的で、他人を蹴落とすような人格に育ちやすく、挫折をすると再チャレンジを拒みやすいのだそうだ。これは、自分の人格を成り立たせる拠り所が、親や他人からの評価にあるということにあるそうだ。 更には、脳神経科学的にもある程度の説明ができているらしい。快・不快を引き起こす課題を被験者に対して課し、その様子をfMRIなどの非侵襲的手法で観測すると、ある種の人間は今の不快を避けすぐに報酬を取得しようとする回路の活動が活発だが、別の人間は(我慢した後の報酬の大きさを考え)今の不快は一時的に我慢して受け入れるという前頭葉からの回路の活動が活発になる。この区別は何により引き起こされたかを被験者のアンケートで見てみると、どうもこの差は無条件に褒められて育ったということも関係しているらしい。 つまり、「Aちゃんは頭が良いから、すごいわねえ」、「Bちゃんはよい子だねえ」と親からその人格や知性を無根拠かつ頻繁に褒められて育てられると、好戦的で他人の評価を気にするくせに、失敗を恐れチャレンジすることを厭う人間が育ちやすくなるらしい。米国の文化は自分に自信をもたせることを最重要の価値と考えるせいか、無闇に自分の子供を褒めあげる米国人の親が多い。その親たちにとっては、かなりショックな結論である。Po Bronsonにも5歳の子供がいて、今までむやみやたらと褒めあげて育ててきたのだが、このDweck研究を知って愕然としたそうだ。そして翻って我が日本においても、米国カブレのエセ文化人が、米国の現状を無反省にマネをして子供を褒めあげることをやたら主張しているが、それはどうもインチキな主張になりそうだ。 このPo Bronsonの本は、もちろん批判的に読む必要はあるけれど、無根拠な因習に無反省で従っていた子育てや子供の教育について、最近の科学の結果をまとめた良書であり、赤ちゃんから高校生くらいまでの子供を持っている子育て中の親には読んで欲しい本だと思う。というか、マストリードだと思う。 ※このブログはトラックバック承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
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