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2008年 10月 16日
ああ、これはなんとも救いようがないバカ映画なようだ。
感染列島 プロデューサーの「世界初!!防護服着用による制作記者会見」での言葉に、制作陣の絶望的な知性とリテラシーの欠落をみる。もちろん「世界初!!防護服着用」という部分以外で。 ウィルスというのは、目に見えない恐怖で、人類史上最強であり、しかも最小である敵と位置づけています。(略)3年くらい前に「SARS(サーズ)」という病気が蔓延しました。中国・香港での、今皆さんが着られている防護服を着て、街中で菌を殺している色々な映像を見ている内に、これは「まるで戦争のようだ」と思いました。「これから人間とウィルスの戦いが始まって、これからの人類の大きなテーマになっていくのではないか」と考え、企画を推進していきました。(略)日本は島国なので一旦ウィルスが侵入した場合、日本全国に広がっていく、それが『感染列島』という意味合いです。 「これから人間とウィルスの戦いが始まる」そうだ。「一旦新型インフルエンザが発生すれば...日本全土が恐らく戦場のようになる」そうだ。「本当に強い意思と勇気を持って、ウィルスに立ち向かっていった...本当に美しい日本人の姿」を描くのだそうだ。「アルマゲドン」、「ディープインパクト」に次ぐパニック映画だそうだ。「ウィルス版のディープインパクト」だそうだ。全くもってつっこみどころに充ち満ちていて、逆に手をだすことができないほどだ。 主演の棒読み坊主や共演者の「ウィルス相手に戦争をしている熱演」は置いておいても、驚くべきなのはまったく疫学的なリテラシーが微塵も感じられないことだ。記者会見での発言はもちろん、トレイラーを見ても、プロモーションのために企画された漫画を見ても。こんな低レベルなパニック映画が公開されると、かなり偏見を一般ピーポーに与え、それによる二次被害はかなりのものになるに違いないと思う。そして、極めつけは映画にタイアップして行われる「感染ゼロキャンペーン」という意味不明のキャンペーンだ。このキャンペーンには新型ウィルス以外にも厚労省の「はしか排除キャンペーン」も含んでいるそうだ。 なんだよ「感染ゼロ」って。意味がわからない。そんなのキャンペーンをするまでもなく、最初から無理に決まっている。あるポーションは感染するかもしれないけれど、パンデミックにならないように準備し努力するというのが、またはたとえパンデミックが起こったとしてもそれを早期に封じ込める準備をし努力をするというのが肝心要なんじゃないのか。感染症の映画を作ろうとしているのに、こんなに頭の悪い、意味が通じないキャンペーンをするとはね。また、対策方法が全く違うので、新型感染症とはしかを一緒くたにするのも止めるべきだ。うーん、これってもしかして、制作陣が知能低下を及ぼす未特定のウィルスに既に感染されているっていうオチなのか?それとも、バカは風邪を引かないというヒューリスティックを確かめるべく、このキャンペーンに乗せられるバカを燻り出す作戦なのか? このような状況証拠から考えると、この映画の制作陣やら出演者がやたらと脚本のオリジナリティを強調しているけれども、それって結局その筋のプロの眼を経ていないということじゃないのか、と邪推したくなる。きちんとした感染症のナレッジは我が国の一般ピーポーには難しいから、この程度のレベルの娯楽パニックでも与えておけ、なんて舐めてかかっているのだろうな。こんな薄っぺらのバカ映画から垣間見える本邦の国民が持つリテラシーを推測する度に、こちらの頭がおかしくなりそうだ。
by yutakashino
| 2008-10-16 02:06
| Movie
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