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2007年 08月 08日
The Luck Factor: The Four Essential Principles 元プロの手品師という変わった経歴をもった、Herfordshire大学の心理学教授Richard Wisemanのベストセラーである。自分のことを幸運だと思っている人と不運だと思っている人を比べて、自分のことを幸運だと思う人は何を理由に幸運だと思っているかを追求した本である。 人によってはためになるかもしれないし、内容も面白いと思うが、タネも仕掛けもある本である。 著者によれば、自分をラッキーだと思っている人は、次の4つの要因があるそうだ。 1. 当たる確率を最大化している 1番目の要因は、ラッキーな人はラッキーになるだけの努力をしていて、例えばクジや懸賞によく当たるひとは、当たるために応募回数を膨大にしているなどの、試行回数を増やしているそうだ。2番目の要因は、チャンスを逃さないということで、少しでもチャンスがあればそれをトライするということだ。まあ、これは1番目の当たる確率を最大化するということに含まれると言えば含まれる。そして、幸せな結果を予想することで、ターゲッティングを明らかにでき、何度もトライすることができるモチベーションを持つことができる、というのが3番目の要因である。最後の要因は少し議論含みだが、一言でいうと失敗を心理的に合理化する仕組みを利用することである。 この本のポイントは二つある。一つは、t検定やクルスカル-ウォレス検定などの統計的検定を利用して、運の良いと思っている人、運の悪いと思っている人の間には、上記4つの要因について統計的な有意差があるとしている点である。つまり、以下の条件構造が成り立っているということである。 「自分のことを運がいいと思っている人」 ならば 「4つの要因を持っている」 二つめのポイントは、じゃあこの逆、 「4つの要因を持っている」 ならば 「自分のことを運がいいと思っている人」 がいえるかどうかということにも言及している点である。著者はそのために、運が悪いと思っている人に対してワークショップを開き、上記4つの要因を高めることを試みる。そして、受講前と受講後を統計的に検定して、その効果が統計的に有意であることを示す。この二つめのポイントがあるから、4つの要因によって、自分が不運だと思っている人もラッキーな人間に変わることができる、というのがこの本の最大の売りである。 しかし、やはり元プロのマジシャンだけに、この結論にはタネの仕掛けもあるのだ。まず、ワークショップの事前事後の統計的検定についていうと、1%検定をとってしまうと有意差がなくなってしまう。つまり、ワークショップの効果が統計的に確かめられないという結果となる。そうだとすると、「4つの要因を持っている」 ならば 「自分のことを運がいいと思っている人」になれる、ということが成り立たなくなってしまう。 そしてタネの二つめは、4つの要因自体にある。4つの要因のうち最後のものは「不運な状況でも幸運と思いこむ」ことに他ならない。この技を取得した人というのは、どんな状況でも自分のことを幸運だと思う人で、つまりこのことは、自分を幸運だと思う人は自分を幸運だと思ういうトートロジーを確認しているだけである。このことは論点先取という論理的誤謬に他ならず、何を証明したことにも何を解明したことにもならないのだ。 このように、二つめのポイントについてはビミョウではあるのだが、大旨しっかりと根拠を示した読みやすい良書だと思う。オススメ。
by yutakashino
| 2007-08-08 17:46
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