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2006年 12月 22日
「負けるが勝ち」の生き残り戦略 理論生物学の古典的な生態シミュレーションである。もっというと、生態シミュレーションの手法として、近距離相互作用だけを考えた格子モデルシミュレーションを行い、そこから推論される「法則」なるものを一般向けに解説したものである。はっきりいうとビミョー。 主旨は次の二つ:複雑なシステムは長期的に予想が難しいこと。「負けるが勝ち」という黄金律戦略は有効であること。はじめの主旨には賛同するが、二つめは…。なにせ黄金律戦略が有効であるという根拠としてあげられているのが、著者の囚人のジレンマ格子シミュレーション結果だけであるので、何ともいえない。そして、このシミュレーションについて各種疑問が噴出する。黄金律が有効だというのはどういう条件のときに有効で、どういう条件のときに破れるのか?シミュレーションは網羅的に行われたのか?境界条件はどのように処理しているのか?そもそも一番の根拠となっている「長期的に空き地を占めるのが黄金律集団である」のはなぜか?つまり、主張をサポートする根拠がまったく書いていないので、判断できないのだ。まあ、こちらは原著論文に当たればいいのだが、当たろうと思ってもプレプリントサーバーlanl.arXiv.orgの著者検索や全文検索では著者はヒットしない(ということは引用も限りなく少ないということか…)。Google検索でも有料の別刷りしかない、ということで原著論文を読むインセンティブが起きない。 そもそもこの時代に、100*100程度の格子シミュレーションでいいのか、これならMathematicaを用いればコーディング1時間、結果1分の世界だぞ、というのはさておいても、解説がどうも科学者らしからぬところが非常に気になる。先ほど指摘した有効条件を明示した根拠を書いていないことに加えて、「…劇的に証明されたのであった」だとか、「私の予測と完全に一致した」だとかというように、科学ではそんなに簡単に証明だとか完全一致はされねーよ、とつっこみたくなる。 一番おもしろいのは「殺虫剤のパラドックス」を現象論的に説明している「じゃんけんゲーム」だが(しかしこれも15年以上前の業績だ)、解説がまずいために、うまく面白さが伝わらないのは残念であると思う。しかし、この15年前の業績から翻って、いまだに短距離相互作用の格子シミュレーションだけでやるっていうのはどうよ、というカンジだ。いや、もちろん原著論文読んでないので、僕の勘違いであるかもしれないのだけれど。 まあ、総じていうと筆者のマーケツールに他なりませんな。
by yutakashino
| 2006-12-22 10:40
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